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東京都新宿区。 今朝、刺青男の事件が発生したが、すっかり現場は片づけられている。 現場が交通量の多い交差点であった為、時間を要したとはいえ、優先されて残骸は撤収された。 やっぱりかぁ。トド松は溜息をつく。 帰宅しようと地下鉄などを使用する為、足を運んでみたが運転を見合わせている状態だった。 当然だ。 トド松のいたアルバイト先がキャスター(ヨマ)によって襲撃された。 表では『ガス爆発』として報道されている。実際は違う。それ以上の理由が思いつかないだけなのだ。 しかし『ガス爆発』ならば、周辺の警戒をしなくてはならない。 地下鉄なんて以ての外だ。 電車という公共交通機関を手段として失った人々は、バスやタクシー、迎えに来て貰うなど。 様々な別手段で解決しようとする。 トド松には、それらが叶わなかった。 一刻も早く渋谷区から脱出したい。悠長にバスを待っているなんて、余裕は一切ない。 渋谷区内にランサー(ヴラド)もキャスターも、まだ居るに決まっていた。 トド松は焦りが募る。 仕方なく、徒歩で隣の新宿区から空いた交通手段に頼る為、移動する事にした。 トド松のように途方に暮れた人々が、自力で隣駅まで向かう姿はチラホラ見られた。 珍しい光景ではない。 『ねぇ、トッティ。ちょっとお話ししたいことがあるのだけど』 「僕でよければ何だって聞いてあげるよ」 先ほどの素っ気ない態度がなかったかのように、トド松のサーヴァント・セイバーが尋ねる。 彼女の思考は、ケーキみたいな甘ったるい類ではない。 そうとは知らぬトド松は、至って普通の対応をした。 『初対面のヒトと会う時には、何をすればいいのかしら。特別なにかするもの?』 「ええと。それってつまり、誰かと会うってこと?」 この『東京』にもセイバーが交流を深めた相手が出来たのだろう。 セイバーが「ヒトじゃないけどね」と付け加えたのを聞き流してたトド松。 彼は、少なくとも前向きな姿勢を受け答えをした。 「うーん………その人の家にあがらせて貰うなら、何か手土産があるといいかな」 『手土産? モノじゃないといけないの? それに………何が欲しいか分からない時はどうすればいいのかしら』 「気持ちの問題だよ」 『気持ち?』 「訪問先に感謝を込める意味も含まれているからね。ちょっとした物でも構わないんだ」 『ふぅん』 セイバーは漠然とした想像しかしてない。ピンと来ない、釈然としない。 果たして、そういうもの(手土産)は本当の本当に『ちょっとした物』で構わないのだろうか? その辺に落ちている石ころを手土産にするなんて、セイバーも凄く失礼と思えた。 人喰い相手なら死体を持って行けばいい。 しかし……あの刺青男は、何を欲しているのだろうか。 分からない。どうしたものか。 途方に暮れていた霊体化しているセイバーとトド松の脇に、一台の車が停車する。 何者かが彼ら(正確にはトド松のみ)に呼びかけた。 「ちょっと君!」 「えっ……な、なに……!?」 見知らぬ人間から声をかけられトド松は動揺する。 常識的に怪しい。不審者だ。 もしかしたら後部座席から、如何にもなヤクザが登場して誘拐されたりするんじゃないだろうか。 自分に限って、そんな事ある訳。そうトド松が不安を過らせる中。 運転席からトド松を呼びかけた人物が、携帯電話で何かを確認してから「やっぱり!」と言う。 「現行犯逮捕! 急いで!!」 逮捕!? えっ、えぇ!!? なんで!?!? 声をかけたのは私服警官だったのだ。 本来の目的は、刺青男とその仲間の捜索。巡回パトロールの最中なのだろう。 しかし、トド松は全く身に覚えない罪で逮捕されようとしていた。 自分は先ほどまで殺されかかった。生死の淵を彷徨った身だというのに、何の不幸か。 セイバーに警察のお世話にならないよう警告していたトド松本人が 警察のお世話になる滑稽な結末を見せつけたところで。 トド松は、必死に訴える。 「僕は何もしてません! さっきまで渋谷区の方でバイトをしてたんです!!」 「しかしねぇ、どう見たってこれは君でしょ」 警官が携帯の液晶で見せつけたのは、完璧全裸の露出狂の画像だ。 その人物の顔は、トド松そっくり。 否、違う! トド松だからこそ違うと分かった。 赤の他人の、初対面の人間からすれば『六つ子の誰がどれか』なんて区別がつく訳ない。 それでもトド松はハッキリと言う。 「か……カラ松兄さんだーーーーーー!!!」 マスターのピンチに行動すらしないセイバーは、取り囲む『警察』に対し、密かな企てを立てていた。 ◆ 東京都渋谷区内。 セイバーことナイブズが到着した時には、後の祭りの状態だった。 事件が発生したのは、代々木公園ではなく少し離れた位置にある珈琲チェーン店『スタバァコーヒー』。 警察の話を耳にしてみると、事件はガス爆発として処理されそうになっている。 実際は違うのだろう。 人智の超えた戦闘を現実主義の生贄達はどう判断するべきか、決めあぐねているだけだ。 事件に関しては仕方がない。もう過ぎた事は流すしかなかった。 問題は――神隠しの少女。 そのサーヴァントと思しきキャスター…… が。 こればっかりはナイブズも呆れを通り越していた。 何と、キャスターと思しきサーヴァントは平然と実体化を続けていたのである。 しかも、ご丁寧に代々木公園から魔力は感じる。間違いようも無い。 ただ。ここまで露骨ならば、きっと代々木公園に罠を仕掛けている可能性が高い。 公園内は、やはり異変がない。実体化して視認しようものなら、キャスター(らしきサーヴァント)も魔力に反応するだろう。 偵察としては、ここまでが限度であった。 ―――感じられない。 ナイブズも『直感』で察しているに等しい。 きっと恐らく――いや、絶対に代々木公園には。さらに正確に示すならばキャスターの近くに。 マスターはいるはずだ。 それが神隠しの少女とは断言できないが……… 『何も感じない』 微量な魔力ですら、そこにはない。漠然とした深い闇のような靄が漂う空気だけは、感じ取れる。 所謂――納得が得られなかった。 ―――どうしたものか。 というのも。 ナイブズは他の主従の存在も確認していたのだ。 これもまた、代々木公園近くにある私立大学の周辺で待機している紙袋を被った謎の男。 傍らには幼女。 その幼女がサーヴァント・ライダーなのである。 キャスターに動きがない為、ナイブズは謎の覆面男の様子を伺う。 「……神隠しについて私に話してくれた。しかし、納得がいかない」 男は静かに、それでいてどこか熱の籠った口調で語る。 幼女に例の『神隠し』の噂をしているようだが、話を聞くに彼が広めた訳ではなさそうだ。 何者かが意図的に噂を広めている。 それこそキャスター自身が最悪広めてもおかしくない。 しかし、マスターであるアイリスの考察を聞いたナイブズは、少々思うところがあった。 「神隠しの少女とは果たして『悪』なのか? それはフェイク! どうやら『彼女』は意図的に噂を広めているようだ。 この話で奇妙な点とは、そう! 噂を広めれば広めるほど、他人に悪影響を与える事なのですよ!!」 覆面のマスターの話を、幼女はポカンと聞いている。 彼女は内容を理解しているか怪しい程の幼女だ。話を聞いたフリ。分かったフリをしている可能性が高い。 奇跡ながら覆面のマスターの言い分は、筋は通っているのだ。 噂を感染させていき、神隠しに合う範囲を広める類。 だとすれば……『神隠し』の仕掛けを理解した存在は、必ずこういう手段を取る。 わざと『神隠し』の噂を広める。 ナイブズはアイリスの話を思い出していた。 既に『神隠し』に出くわした人間が『神隠し』を回避するには、永遠と噂を広めないといけない。 広めるだけならSNSなどの交流サイトで幾らでも可能。 だが、出くわした人間が『マスター』であった場合。 他のマスターも同様『神隠し』に合わせようと、一種の攻撃手段として取る可能性が高い。 ―――ならば。この男に噂を伝えた者が、マスターだろう。しかも、既に『神隠し』と邂逅した。 「つまり! 『彼女』は悪なのです! 神隠しを利用し、人々を陥れようとする悪!! どうやら私は『彼女』を倒さなければならないようだ。一度は助けてしまったが、悪ならば容赦はしない!」 いささか、曲がった解釈をしているようだが。 それでも覆面のマスターが言う人物が、人々を神隠しに合わせる危険を与えているのは確かだ。 価値観はどうあれ、見る目はあるらしい。 尤も……… 「あのー、そこの人? ちょっと話いいかな」 「ふぇ?」 当の本人の見た目が問題だらけだった。 もしかしなくても、私立大学の関係者が不審者の通報をしたのだろう。 先ほど原因不明の事故が発生した為、現場周辺を巡回していた警察官が覆面のマスターを確保する。 ナイブズが自ら手を下さずとも自滅しそうに感じられる覆面のマスターは「ちょ、待って!」という制止も聞かされず。 あっという間にパトカーに乗せられ、連行されてしまったのだ。 体を張ったお笑い芸人のドッキリ番組じゃあるまいし。 訳の分からぬ退場をしたマスターに、ナイブズだけではなくそのサーヴァントである幼女もポカンとしていた。 正直なところ。 覆面のマスターが邂逅したというマスターも興味はあるが。 ナイブズは、わざわざ幼女にそれを尋ねるのは気が退けた。 その幼女の方はというと。 しばし、どうするべきかと悩んだ様子をしてから、移動を始めた。 霊体化もせず、黙々と歩み続けた彼女が向かった先こそ――代々木公園。 ナイブズ同じくキャスターの魔力を察知したらしく。興味本位で足を踏み入れるようだった。 幼女が全く警戒なしに公園内部に突入したのは、つい先ほど自分がここで遊んでいた為である。 彼女は、ここが陣地ではなく。罠も仕掛けられていないのを理解している。 ―――無警戒とは。知能は低いか? ナイブズは幼女をそう判断しつつ、霊体化したまま便乗の形で公園へ進んだ。 皮肉にも幼女が先行する為。罠があれば、向こうが先に引っ掛かるだろう。 例の事故のせいで、すっかり人の姿は無い。 平日とはいえ、この時間帯にも何人かの人々がいるであろうと想定されるが、人っ子一人いない。 霊体化しているナイブズには認知できなかったが。 幼女は、錆ついた香りを感じ取った。 この世のものではない臭い。異界の匂いを。それを辿って公園内を進んでいく。 視えた。 平然と実体化を続けるキャスターと、その奥の草むらに潜む『闇』が。 至近距離で感知したからこそ言えるものだが、果たしてアレがマスターなどと規格外な現象があるのか? 否。 現実は、そうだった。 キャスター・ヨマが実体化を続けるのには理由が含まれていた。 彼は『光』の魔法使い。 太陽の光を浴び続ければ、魔力や損傷が回復する。 快晴だった空模様が不機嫌になってきたのに、キャスターは舌打ちをした。 天候なんてのは自然現象だ。どれだけ不満を漏らしても、変化が訪れる訳ではない。 実は、それもヨマとは異なるキャスターの宝具の影響だと、この時点では予想すらされていなかった。 「おい、クソザコ」 「………っ」 闇そのものと思しき存在は、少女の形をしている。 自身のサーヴァントに恐怖を抱いているらしいソレは、高圧をかけるヨマに睨むことすら出来ない。 むしろ、彼女は暴力は愚か、恐怖すら自らの手で与えようとは出来なかった。 少女に構わず、ヨマの話は続く。 「あのマスター……お前の姿が視えた……だったら。そのまま消しや良かった……そうだろう? 何、仕留めそこなってんだよ………一々、俺に構って欲しいのか? お前……死にてぇのか??」 「い…………いや……」 「はぁ?」 少女の否定に、ヨマは苛立ちと怒りが混じった声で威圧した。 この神隠しの少女は、確かに聖杯が欲しい。聖杯の力で人間に戻りたかった。 そういう願いが、欲望があるというのに。 「どれが嫌なんだよ……殺される事か? まさか……誰も殺したくありません………なんてバカ抜かさねぇよな………」 「ご、ごめんなさい! ごめんなさい………」 「謝れとは言ってねぇ………どっちにしろ………お前は殺すんだよ…………」 マスターを殺害すると宣言しているのなら、成程――少女が怯える理由は分かる。 だが、一体どういう理由でマスターの殺害を目標にするサーヴァントがいるのだろうか。 その辺りの共感は、ナイブズにも不可能だった。 方針が支離滅裂な彼らを前に、幼女が行動に出る。 新手のサーヴァントに接触しようと(幼女の場合は遊ぼうと)子供レベルのスピードでヨマに近付く。 やはり、幼女は警戒心すら抱いていない模様。 身体能力も年相応のソレであった。もはや英霊なのかすら怪しい。 幼女に気付いたヨマは、彼女の行動や彼女自身に声をかけることなく。 彼は薄く口を開いたまま、手をかざす。その手に集った光の力が、幼女の体に命中する。 呆気なく殺した。 まるで人間が家畜を殺すかの如く、無抵抗だった。 神隠しの少女は悲鳴を漏らす。手で顔を覆って、悲劇的な光景から目を逸らそうとした。 ……が。 幼女は平然と立ち上がる。傷はすでに完治していた。 少しくらい手ごたえあるようだと気付いたヨマは、そのまま連続で光の弾幕を放つ。 あまりに一方的過ぎる。 ヨマの方は上機嫌に高笑いをし、攻撃を続けるが、幼女は対抗する術がないかのようだった。 ならば何故、特攻してきたのか? 少なくとも――幼女は聖杯戦争を遊びだと思っている。 先ほどから幼女が捜索をしているアサシン(アイザック)に関してもそう。 一方的にやられてしまっただけで終わったので、その『続き』がしたいと幼女は望んでいた。 何故なら、まだ彼女は自身が常時発動している呪いではない。 もう一つの宝具を発動していなかったのだ。 ナイブズも気付く。 幼女は攻撃を受け続けているのではなく――『魔力』を蓄えていた。 「………なっ―――!?」 突如として出現。否―――召喚された存在に、ヨマも、霊体化するナイブズも戦慄が走った。 彼らは本能的に『ソレ』は、この世に存在するあらゆる生物を凌駕する……憎悪の象徴だと受け入れる。 明確な生物名は不明。 爬虫類の仲間のようで、ひょっとしたら竜種の一つかもしれない。悪夢のような生物だった。 召喚された後、常時変化を続ける肉体、甲羅の装甲が厚みを増す。 巨大な頭蓋にある悪意に満ちた瞳が眼光を放った。 小規模な山のような体格をした怪物の上に、幼女は騎乗している。 この史上最悪の不死身の爬虫類に騎乗した記録が残されているが故に、幼女はライダーとして召喚されたのだ。 ヨマの攻撃を受けた部位は、とっくの昔に修復してあった。 人智を越えた怪物の登場に対し、ヨマも冗談半分ではなく本気で相手しようと構える。 次の瞬間。 怪物は、巨体に似合わぬほどの速さでヨマの頭上に移動していた。 「―――」 ヨマは何か言葉を発したかもしれない。だが、遅いうえに聞き取れなかった。 そのまま怪物は、ヨマに頭突きをかます。 一撃。 公園内に舗装された地面は大きく凹み、クレーター状の陥没が刻まれる。 ヨマの傷は癒えない。最悪な事に――怪物が巨大な為、その真下に落ちたヨマがいる場所は『日影』になっていたのだ。 そこに、大陸が動いたかのような音が聞こえた。それは――言葉。 「相変わらず……耳触りな奴らだ………」 「………ん……だと……!?」 喋ったのは、紛れもなくその怪物である! 人の言語を発したのだ!! ヨマが驚愕している内に、怪物の前足が頭部に押しつけられていたヨマに襲いかかる。 重装甲の甲羅と刺殺する為だけのかぎ爪がある前足は、ヨマの体を横に裂こうとしていた。 勢いをつけ、払い飛ばされる。 ナイブズが「不味い」と思う。 既にこの怪物が登場した時点で、相当状況は酷いものだが――彼が感じたのは、そういう問題ではない。 代々木公園にある木々に衝突したヨマの肉体は、どうにか繋がっている状態。 しかし、ヨマも黙ってはいない。 彼が宝具を解放すると同時に、ナイブズは自然と霊体化を解く。 ――――マテリアル・パズル『アデルバ』―――― ヨマの体に光が集中する。光を蓄積し、そして光そのものに姿を変化する奥義『光刺態』。 その間――ヨマの肉体は光そのものとなって為、先ほどの損傷は回復しきっている。 怪物はそれを静観していた。 ヨマが「死ね」と合図をすると、魔法によるレフ盤を作成し、怪物へ投げ飛ばす。 怪物の方は、幼女を背に乗せたままレフ盤に衝突したのだった。 『光刺態』のヨマに体当たりを噛ます怪物だが、ヨマは平然とする。 『光刺態』は物理攻撃を無力化する。魔力のない怪物の猛攻など、ヨマには何ら障害にもならなかった。 ただ、攻撃するだけならば。 レフ盤は怪物の頭部を切り裂き、幼女に襲いかかる。損傷は即座に回復するが、ヨマの追撃が続く。 雨のような弾幕。 そして、巨大な矢のようなエネルギー。 怪物と幼女は、それを受けて立つ。 ナイブズは、怪物と殺人者の蚊帳の外。 しかし、彼が実体化したのは――例の神隠しの少女に関してだった。 戦闘に加わっても構わないが……ナイブズが実体化をし、確かめれば異常の塊である。 彼ですら至近距離にいる少女を認知するには、直接目にしなくては存在が危うく、見失う。 優柔不断な少女を、今すぐ切り裂くのは一向に構わない。 神隠しをする以外では無力ならば、ここで終わらせても良いのだ。 だが――― 怪物が発生させる衝撃波、ヨマが乱れ撃つ弾幕。 それらを受け流したナイブズは、少女の眼前に立つ。 少女も、自らを視認出来る存在を受け入れがたく、恐る恐る尋ねてきた。 「あの………私の姿が…………」 怪物の方はともかく、ヨマの方はすっかり少女の安否を考慮していないらしい。 流れ弾であるヨマの攻撃は、乱雑に少女の方にも飛ばされていた。 手にしていた刃でそれを弾きつつ、ナイブズは問う。 「どうするつもりだ」 「………その……それは………」 「俺を殺すか、それとも死ぬか」 違うな。ナイブズは訂正した。 「どちらかしか選べないぞ」 「………!」 少女は、ついに決断しなければならないのだと察した。 聖杯戦争は恐ろしい。人を死なせるのも、消させるのも。本当は嫌だ。 カナエに恐怖を抱いたのではない――カナエの存在が消えるのが恐ろしかったから。 もう、そういう光景も、人の死も起こしたくはない。繰り返したくなかった。 一方で、聖杯を諦めたくなかった。 どうしても聖杯は欲しい。聖杯で人間に戻れたならば、それはどんなに素晴らしい事だろう。 もうこのような想いはしなくて良いのだ。 だけど……けれど……分かっている。どちらかしか選べない。 眼前のセイバーは、冷酷な現実を突き付ける。 少女が。 漸く、一歩だけ前進する。 「…………私は……聖杯が欲しい…………でも………………止めます…… ………………人が死ぬのは……………………………もう………いや…………」 どうにかしてキャスターを止めなくては。 彼はあの怪物と対峙し続けるように、恐ろしく強い。 だから……自分が死んでも構わない。 最悪、自分が死ぬしかないのだろう。 別にナイブズを前に恐れをなした訳ではない。最初から彼女の中で答えは決まっていた。 それを決断できなかっただけ。前進する切っ掛けが欲しかっただけ。 体を震わせる少女に「そうか」と、ナイブズは至って驚く様子もなかった。 「運が良かったな。俺のマスターはお前の始末を命じてはいない」 「………え?」 彼らの傍らでは、相変わらず恐ろしい戦いが繰り広げられていた。 件の怪物は不気味な再生を続け、ヨマを追い詰めている。 強靭な牙と巨体の尋常ではない速さによる攻撃を、怪物がしかけた。 対して『光刺態』となったヨマは、姿を消す。 霊体化のような類ではなく――光の屈折を利用した視覚妨害の一種である。 レフ盤もヨマ同様に消滅をするものの、確かに存在している。 動きを止めた怪物が、次々と手傷を負って行く。最終的にヨマが狙うのは――怪物の甲羅に乗る幼女だ。 瞬間。 怪物が笑った。 この怪物の恐ろしい点は言語を語れるように、知能が優れているという点であった。 かつて、人工知能相手に高度な語り合いを交わせたように、ヨマの行動も読めている。 怪物自身。ライダーに召喚された身である以上、ライダーの死こそが自らの消滅だと察している。 故に。怪物は、肉体を変化させた。 先ほどの構造上、背後に届くはずのなかった頭部が、急激な肉体変化により背後に存在しているだろうヨマを捉えた。 本能的なもので感じ取ったヨマの気配を頼りに、怪物は暴力的な顎でヨマを噛み砕く。 屈折の効果を失ったヨマの姿が露わになると同時に。 ヨマは大量の血を吐く。 丁度、上下半身を別つように怪物の牙はヨマの体を貫いていた。 そして――怪物の口の中は『影』だった。 「がっ…………! この、野郎……!!」 異常な攻撃が続いた。 怪物の口内に牙のような、針のような、ともかくヨマの下半身を剣山に突き立てるかの如く生えて来る。 だが、ヨマも黙って死を受け入れるような殺人者ではない。 まだ『光刺態』の効力が残る腕で、怪物の頭部に攻撃をしかける。十分な至近距離だ。 周囲を飛び交うレフ盤も続け様に攻撃してきた為。 怪物は一旦、グロデスクな口を解放したのだった。 生々しい有様になったヨマの肉体が現れるが、構わない。日の光を浴びれば――― 叶わなかった。 天はヨマに味方はしない。 どこからか漂ってきた厚い雲が太陽を隠したのだ。 暗黒が現れたかのような大いなる影が、ヨマだけではなく怪物や幼女、ナイブズも影に包む。 雲の向こうでは、燦々たる太陽が照りつけているだろうが。 今は違う。この状況下では『光刺態』も自動的に解けてしまうのだ。 「は……何故だ………どうして、今は夜……じゃねぇ……昼間……だろ………なんで、影が―――」 呆然とするヨマに怪物が圧し掛かった。 前足だろう部位で、全体重を押し付けると骨や筋肉が砕ける音が不気味に響き渡る。 その残骸をゴミのように遠くへなぎ払った。 神隠しの少女は心底怯えに満ちた声を漏らす。 凛然とした怪物だけが、健在していた。 ヨマを葬れば、自然と次のターゲットが何になるか分かる。 ナイブズの存在は視認しているようで、憎悪に満ちた瞳がそちらを伺えば、やや間を置いて。 「人間ではないのか」 怪物から憎悪が消えたようだが、生物的な殺意だけは残されている。 ナイブズも、いつ刃を振るっても構わぬように体勢を取っていた。 「人でない癖して人に飼いならされて。お前は哀れだ」 ナイブズは何かを察して、刃は収める。 冷笑する怪物に対して、彼は酷く淡白に答えた。 「俺は――『考えた』だけだ」 「考える?」 「あぁ、そうだ。それだけだ。お前とは違う」 人を憎悪しても、人を滅ぼすべきか。感情に従ったのではなく、至極冷静に判断したのだと。 過去もそうだったように、今も変わらない。 ナイブズの主張に「そんな必要などなかろう」と怪物は山が動いたような声で話す。 「お前のように『自分で選んだ』と抜かして、人間に飼われた奴が居たな。奴がどうなったか、聞きたいか?」 自棄に饒舌に語る怪物。ナイブズは背を向けた。 「俺には関係ない」 怪物は気に食わなそうに鼻を鳴らし――消滅する。 魔力の問題だ。 幼女と、彼女のマスターの魔力は限界だ。恐らく、ヨマとの戦闘で使い果たしてしまったのだ。 怪物もそうだが。幼女も姿を消している。 恐らく霊体化をしているだけだろうが、ナイブズも深追いするつもりはない。 地獄の化物が居なくなったのを安堵する神隠しの少女に、ナイブズは声をかける。 「俺のマスターは、お前を保護すると言う。少なくとも『神隠し』の被害を広めない為らしいが」 「……えっと?」 保護。 という表現が、今一少女には想像できないものだった。 しかしながら『神隠し』の被害を抑えるのを協力してくれるのなら……? 少女が頷く。 「……わかりました………」 ◆ 東京都渋谷区。ここに構える私立大学にて。 聖杯戦争のマスター、カナエ=フォン・ロゼヴァルトは決して呑気に講義へ出席しているのではない。 理由の一つとして、大学内で『神隠し』の噂を広めること。 カナエもどの程度の広め具合で『神隠し』から免れるか分からない以上。 安全を考慮する為に、十分と呼ぶほど話を広める事に成功していた。 いささか、目立った行動に違いない。 仮にカナエのいる大学内で、他のマスターがいればカナエに狙いを定める事だろう。 現時点では、それらしい人物はいないとカナエのサーヴァント・ランサーは教える。 ……何よりも。 「まだ居るのか」 『うむ……俄かに信じがたいが、そのようで』 あのキャスター(ヨマ)はまだ渋谷区内に存在していた。 しかも、書き込みの予告通り代々木公園付近で。 最悪……神隠しの少女が同行している可能性もありえたが、カナエの一件で向こうも警戒しているはず。 一方。 カナエとランサーはある事実に確信を得た。 「奴は、昼間に多くの敵を滅ぼす算段か……」 キャスターの攻撃には『太陽』の恩恵が含まれているという。 ランサーが怪物(吸血鬼)の影響に犯されたが故に得た、皮肉な情報。 一連の戦闘を回想すれば、すとんと空洞に収まるような話だった。 キャスターは何故か高い位置を維持し続け、店内にいたランサーを追撃しようとはせず。 常に『太陽』の光を浴びれる場所にあり続けたのだ。 ならばこそ、弱点は―――『夜』。 とはいえ、キャスターも馬鹿ではないはず。夜になれば代々木公園から撤退する。 ランサーは拘置所で補充した魔力が尽きただけで、余力は有り余っていた。 太陽がなければ、不死身を連想させるキャスターも打破が可能。 日が完全に沈む手前。夕刻。 それまで『神隠し』の噂を広め続け、ニュースなどを確認しておけばいい。 「さっき、でっかいトカゲが代々木公園にいたんだけど見たか!?」 「はぁ~~~? なんだそれぇ」 「マジでミニチュアのゴジラって感じでさ! 誰かが作ったもんかな、アレ」 他愛のない噂をする男性らを尻目に、カナエは久々に刺青男の話題に目を通した。 すると。 現在、板橋区の方で目撃情報が相次いでいるらしい。 幸か不幸か、カナエのいる渋谷区や住まいのある港区とも無縁の場所。 SNSでは共犯者と思しき女子高校生が話題になっている。しかも、彼女の住所まで公にされていた。 あまりの悪意に、カナエも流れに逆らいたい程だ。 それでも。 神原駿河……包帯まみれの男……金髪の少女………桐敷沙子……… もう一人のフードを被った………! カナエはその人喰いの『瞳』に注目せざる負えなかった。 ◇ 東京都千代田区。 ここにあるは警視庁。日本警察の総本山と呼べる場所である。 流されるまま、トド松は人生でも見学でしか目にしたくない警視庁内部に足を踏み入れていた。 人手は、割と多くいるように感じる。 普段ならこれ以上の警察関係者がいるのだろうが……そんな感傷に浸る余裕はない。 トド松は、身に覚えのない罪で捕まってしまった。 むしろ、実の兄の犯罪を知って、ある種の放心状態だった。 トド松の心情などお構いなしに取り調べが行われようとした矢先。 「葛飾区から渋谷区を数分で移動するなんて、物理的に不可能ですよ~~なにやってるですか~~」 「………そ、そう……でしたっ、申し訳ございません!」 冷静に分析してくれた若い美形刑事のお陰で、トド松は無実は証明された。 された……は、いいのだが。 一体どうして兄は犯罪行為に及んだのだろう。 日ごろから、痛々しい兄だが…… まさか「俺の†ビューティフル・ボディ†を見てくれ、カラ松ガールズ!」とか何とか抜かして全裸になったのか。 絶対泥酔レベルの所業だ。幾ら痛くても、犯罪ラインは理解している。 そう、トド松は願っていた。 絶望の取調室から、待合室に移動したトド松。 そこで、美少年にも美少女にも見える若い刑事に聞かされた話では。 カラ松は改造車(カラ松 A GO GO!)で都内を暴走したあげく、その姿は全裸だったという。 何時ぞやのレースのノリで公道を走ろうとしたのか。 トド松も呆れて言葉を失う。 普段なら「痛いよね~」「馬鹿なの!?」と突っ込みをする場面だが。 もはやカラ松は、犯罪者として警察に目をつけられている。 お先真っ暗。 しかも容姿の似ているトド松や他の兄弟にも影響が待ったなしだ。 事実、トド松は逮捕(無実は証明されたが)されてしまったレベルである。ギャグでは済まされない。 若い刑事の方は呑気に部下と話をしていた。 「あまりに似ているので区別がつかないです。はんべ~なにかあるですか~~」 「えっ……ガムテープなら」 「よーし、確か『チョロ松』でしたね~~」 「あ、あっ! 僕は『トド松』です! トド松!!」 若い刑事なりの区別なのだろう。 『トド松』とペンで書いたガムテープを、トド松の服に張りつけてきた。 あまり良い気分ではないが、普通の人じゃ区別はつかない。仕方ないと受け入れる事にしたトド松。 「そうそう」若い刑事はついでのようにトド松に尋ねる。 「燕尾服を着た男の人に覚えはあるです?」 「燕尾服? いえ……僕はありません」 「そうですか」 詳しい話は聞けなかったが、燕尾服を着た男は何か重要人物なのだろう。 無論、嘘偽りなくトド松は覚えがなかった。だからこそ、訳がわからない状況にあった。 ところで。 トド松もだが、若い刑事も気になっていたらしく、部下に問うた。 「そこで気絶している人はなんです?」 待合室のベンチで横になっている男性……?が居る。 しかも、頭に何故か紙袋を被っており。その姿は全裸のカラ松並に不審者の貫録がある。 嗚呼と部下が答えた。 「私立大学付近にいた不審者らしいのですが、連行中に気絶したとか何とか……すみません、あまり知りません」 若い刑事は「へぇ」と納得したようで、それ以上の言及はしなかった。 その時。 警視庁管内に緊急連絡が鳴り響く。 トド松ですら、それが『不吉』を知らせる鐘の音である事を察する。 長身の部下は「あぁ刺青男、怖い」と呟いているが、若い刑事はどこか愉快そうだった。 「僕たちは行って来るです~ここでもう少し待ってて欲しいです」 「あ、はい」 彼らは捜査一課の人間であっても、性犯罪を取り締まる係の人間ではなかったのだろう。 次に現れる刑事は、カラ松を連れて来るのか。 あるいは別の兄弟を連れて来るのか。 ただ。 それほど、カラ松の事件がショッキングだったとはいえ。 トド松はすっかり忘却していた。 彼のサーヴァント・セイバーのことを……… ◆ 同じく東京都の千代田区にある警視庁内。 トド松のいる場所から離れた階層にある、刺青男の対策本部にセイバーはいた。 霊体化しているセイバーにとっては厳重警戒は無意味に終わるものだ。 忙しなく刺青男の情報を集計し、まとめている眼鏡をかけたデスクワークの警官は「はぁ」と溜息を漏らしている。 きっと、彼も刺青男の捜査に加わりたい熱意があるか。 嫌々行う書類担当に厭きを抱いているのか。 そのどちらもあって不満がありそうな雰囲気を露わにしていた。 広々とした会議室を大胆に使用し、捜査は行われているよう。 セイバーは迷いこんだ子供のように踏み入れた。(無論、霊体化したまま) すると本部が一気に慌ただしい場所へ変貌する。 「目撃情報だ! 場所は板橋区■■■!!」 SNSではとっくの昔に広まっていた情報を、漸く公表したのは信憑性の問題だ。 関係者は新たに書き込まれるホワイトボードの情報に、ざわめく。 刺青男の共犯者と人質が発表された。 包帯まみれの男(しかも鎌を手にしている)。 神原駿河という女子高校生。 身元不明の金髪の少女。 「女子高校生が共犯者!?」 「脅されているだけかもしれないが………」 「捜査員は現場に急行! 今度こそは取り逃すな!!」 室内を犇めいていた人々が雪崩れるように移動を始めた。 どさくさに紛れ、セイバーは実体化を解く。 皆の意識が集中していたとはいえ、セイバーの容姿は酷く目立つ。 七色の宝石がぶら下がった枝のような翼、金髪、しかも少女。衣服も並より幼さを醸しだす。 捜査資料の視認を始めたセイバーは、神原駿河の自宅住所を目に通す。 目撃情報が相次いだ板橋区の位置。 刺青男、フードの人喰い、神原駿河、包帯男、金髪の少女、桐敷沙子……… 「おい、子供がいるぞ? どこから入ってきたんだ!」 セイバーに気付いた人間が、やれやれといった様子で彼女の体を持ち上げ、強引に退出をしようとする。 が―――次の瞬間。 その人物の頭部が吹き飛んだ。 言いかえるなら『破壊』される。 断面から血の噴水が溢れ返る光景に、残っていた人々は茫然とするばかり。 一体何が起きた? 何の攻撃なのだ? 誰もが『少女による犯行』とは思えないだろう。 セイバーは溜息をつく。 「やっぱり警察って邪魔ね。私、やっと気付いたわ。トッティも気にしている通り、邪魔ばっかりするじゃない。 どーしてアイチとかいう主催者は警察の存在を排除しなかったのかしら。ルーラーと同じくらい邪魔よね?」 セイバーはいよいよ理解したのである。 警察を警戒するべき、ではなく。 警察そのものが邪魔、なのだと。 聖杯戦争の邪魔をする。マスターを容疑者として確保する。 考えれば考えるほど邪魔な存在だ。恐らくルーラーも警察と同じく一々自重しろと申しつける邪魔な存在なのだろうが。 ルーラーが居ないからこそ、警察の存在が際立ち。より一層、邪魔に思えてならない。 哄笑しながらセイバーは決心した。 ―――『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力-one unknown coin-』――― 暴風のように人間を破壊するセイバー。 彼女にとってみれば「きゅっとしてドカーン」な感覚。呆気ないほど躊躇なく殺害をする能力。 少なくとも。 この室内にいた人間は、全て『破壊』された。 「邪魔だから『破壊』してあげるわ! これって『手土産』になるかしら?」 彼女の疑問に答える声はなかった。 ◇ 東京都葛飾区。 先ほどまで露出狂の騒動が発生していた場所で、アサシンこと零崎曲識は携帯を確認する。 SNSの書き込み。 例の神隠しに関してのものに、新たな進展があった。 それがあったのは大分前のこと。 カラ松の事件で意識を向けられており、曲識もつい目を離してしまっていた。 「ふむ」とSNSの内容に目を通し、彼はマスターである飛鳥に言う。 「マスター。そろそろ帰った方がいいかもしれない。もう、このような時間だ」 曲識から携帯の時刻を見せられ、飛鳥は少しだけ日常に引き戻されたような錯覚に陥る。 この東京ではアイドルではないが、中学生であり。 偽りとはいえ家族が存在する。彼らは飛鳥の帰宅が遅れれば心配するだろう。 刺青男が――まだ捕まっていないから……… 嗚呼。どうして彼の事を想うのだろう。 我ながらどうかしている、と飛鳥は残念な心情のまま言う。 「やはり中学生の身であるボクには、最低限な事しかできなかったようだ。こればかりは申し訳ない」 「いやいやいや! カラ松ガール。君は十分な働きをしてくれた! ……あぁ、その本当にアリガトウゴザイマシタ」 確かに飛鳥は服を買う財力はないし、このまま飛鳥の家にカラ松を匿える身分でもない。 むしろ、それを行えば飛鳥の家族にカラ松が通報されかねない。 だけど――飛鳥は『サンダル』だけは買えた。 非常な安価な。多分、海辺で履くような質素なサンダル。 素足でアスファルトを歩み続ける、どこかの修行僧のような体験をカラ松が回避する手助けをしたのだ。 とはいえ。 飛鳥の貴重な資金を使用したのだ。曲識は「後でマスターに金を返すんだ」とカラ松に言いつけ。 流石にカラ松のアサシン・明も同意している。 痛々しい当のカラ松も、中学生相手に有難味を感じるほど哀れな有様だ。 ところで。 曲識は、明に尋ねる。 「コートのアサシン……いや、『元』コートのアサシンとでも呼ぼう。これから予定はあるだろうか」 「予定? いや、特にはないが」 「そうか。何。聖杯戦争に関係ある件で少し時間を貰えるか、それを聞きたかったんだ」 明も現実に引き戻された気がする。 マスターの露出狂事件も十分ショッキングだったとは言え、聖杯戦争とは無縁な事に費やしてしまった。 カラ松と飛鳥も、聖杯戦争なる非現実的な単語に体をビクリと跳ねる。 格別、空気を壊すつもりで曲識も言った訳ではないのだろう。 冷静に、明は問う。 「だったら、マスターも交えて話合うべきじゃねェのか」 「それが少々難しい。見てくれた方が早いな」 曲識が飛鳥の携帯を使用し、ある『噂』に関してのページを開いた。 そのまま、それを明に渡す。 内容を確認した彼は、少々驚きの色を浮かべながら納得した。 「しかし、どうやってコイツを捕捉出来た?」 「僕の『音楽家』の勘。としか言いようがない。生憎、僕もこれほど情報が集まるとは想定外だ」 確かに理由としては納得できないが。 普段ならば明も「凄ェ!」「でかした!」と称賛していた場面だろう。 それに、曲識の言う想定外の理由も、色々と分かる気がしたからだ。 一連の様子を眺めた飛鳥は、邪魔にならないタイミングで尋ねる。 「ボクたちはボクたちで、大人しく家に帰った方がいいようだね」 曲識は頷く。 「そうしてくれると有難い。最悪、何かあれば念話で令呪の使用を呼びかけるかもしれないが…… マスター、もうしばらくコレを貸しては貰えるだろうか」 携帯電話を差して問う曲識に「構わないよ」と飛鳥は答えた。 順調に会話する彼らを見て、カラ松も渋々自らのサーヴァントに聞く。 「あ、アサシン。令呪?の使い方は前、話した通りでいいんだったよな?」 使用を体験した身ではない為、その確認だろう。 飛鳥同様。彼も彼なりに、最低限努力の姿勢を見せているのだ。 明は「あァ」と返事をする。 「その時は頼んだ」 「お……OK」 カラ松個人としては、令呪だろうがなんだろうが、戦争に関わりたくも無い思いで一杯だった。 だが、マスターの身分を持つ以上。嫌がおうでも関わるハメになる。 けれども、カラ松の今後を想像するだけで、先は真っ暗に思うが…… 聖杯戦争は始まっている。 既に刺青男も、人喰いも、殺人鬼も、皆がみんな踊り狂うように暴れているのだ。 飛鳥とカラ松は、その渦中へ飛び込むべきか。 遠くから静観・傍観するだけに終わるか。そのどちらかしか選べない。 (ボクは…………) わかっている。 二宮飛鳥は、本当はもう気付いているのだ。己の本心に。 だけど、果たしてそれは正しいのか? 怖いと思うし、不安にも思う。だけどそれはきっと自己防衛本能だと理解していた。 飛鳥がもどかしい想いを胸に秘めたまま。 二人のアサシンがどうやら何か目的があるらしく、飛鳥とカラ松に別れを告げた。 飛鳥は何かを書き込んだノートの切れ端をカラ松に渡す。 「ボクの連絡先だ。携帯電話の方はアサシンが持っているけどね」 「でかした! ……じゃない。ナイスだ、カラ松ガール! フッ。やはり、ナイスガイなロンリーオンリーウルフにも手が差し伸べられたものだ」 なんて痛々しい反応をするカラ松を見たら、連絡先を教えるべきではなかったのかもしれない。 ……が。ここでカラ松はある問題に直面した。 コートの前開き部分を抑え込む事で、露出してはならぬ場所が視えるのを避け。 なおかつ、サンダルを履いて歩け、二宮飛鳥の連絡先を入手したものの。 どうやって帰宅すればいいのだろうか? 葛飾区から自宅のある板橋区。 『カラ松 A GO GO!』を使えばあっという間の距離だが、徒歩で帰宅するにはかなりの距離。 徒歩で帰ろうにも『この状態』で長時間うろつけば、流石に不審者として再び通報されかねない。 「一体どうすれば良いんだー!」 本日二度目のカラ松の叫びである。 飛鳥も「えっと」と財布の中身を確認した。 彼女が考えたのはタクシーだった。それなら一目を気にすることなく移動するのは可能だろう。 勇気を出して、停止していたタクシーの運転手に声をかけて尋ねる。 すると、ここから板橋区へ向かうには5000円以上の料金がかかるとのこと。 非常に申し訳ないことに飛鳥は、それほどの現金は所持していない。 まるで無力だ。 飛鳥は思う。 彼女でも、決してカラ松を見捨ててもいいんじゃないかと悪魔の囁きを聞いても。 どうにか同盟相手の手助けはしたかった。だけど、何もできない。 行動しようにも……これじゃ、無力も同然ではないか。と…… 「なぁ、アレやばくね!?」 「火事でも起きてんの?」 その時。 人々が不審者であるカラ松を差し置いて注目していたものがあった。 これのお陰で、カラ松は怪しまれてないのだろう。 「板橋ですげー火災起きてるんだって。しかも刺青ヤローの仕業とか……」 「マジ!? どんだけだよ、アイツ――」 刺青男……? 胸の脈動を感じながら、飛鳥は自然と――あそこへ向かおうかと興味を覚えていた。 違う気がする。 飛鳥は思う。 彼はきっと、火事なんて起こさない。 アサシン(曲識)が助言する通り、飛鳥に彼の共感や理解など不可能なのに。 いいや。無実だ。彼は正真正銘の殺戮者なんだ。ボクにもそれは判る。 確かめなければ……確かめなくては……… 「あ……あぁ………」 火事の噂を耳にして、反応を起こしたのは飛鳥だけではない。 カラ松が痛々しいソレではなく、顔面蒼白になって身を震わせていた。 「俺の………家が………」 「え?」 □ 東京都葛飾区不動高校。 もう、あと一つの授業が終わればホームルームの時間となって、下校時刻だ。 ある一年生の教室でアイリスは、彼女のサーヴァント・ナイブズから念話を受ける。 正直に奇跡的だった。 ナイブズでもその――神隠しの少女を感知するのは困難だったという。 最悪、高度の感知能力を持つサーヴァントでしか捕捉できるか否かな、異常な存在。 少女のサーヴァント・キャスター(ヨマ)も感知が困難だった。 ああだこうだ、暴言を吐露しながらもヨマが神隠しの少女と同行していたのは ヨマ自身も少女を感知出来ず、どこかに逃げられては困る存在だったからだ。 『マスター。お前は喋る大トカゲというのを、どこかで聞き覚えはないか』 ナイブズからそのような情報を聞き、ひょっとしたら……とアイリスは一つ連想したものがあったが。 正直『アレ』が召喚されていようものなら、ナイブズでも相手が難しいのではと思う。 まだ刺青のバーサーカーの方が優しい。 他にもその大トカゲに騎乗していた幼女や、神隠しの少女のサーヴァント。 『神隠し』に合ったと思しきマスターの存在などが確認された。 情報を確かに集めつつ、アイリスがずっと悩ましくしている点があった。 それは神隠しの少女をどこに置くべきか。 真っ先に思いついた場所が一つある。 葛飾区にある『東京拘置所』だ。 ここは情報が遮断されているし、囚人たちは『神隠し』の噂を聞く機会も少ないだろう。被害者が出ないはず。 だが、少女を拘置所に身を隠すようになんて、流石のアイリスも止めた。 それこそ『財団』のような所業だと思う。 何より―――どうやらここで囚人の不審死が発生したという事件が、小さくニュースサイトに掲載されていた。 恐らく、サーヴァントが行う『魂食い』の可能性が高い。 逆に……既に『魂食い』をした場所に、犯人のサーヴァントが現れる事は無いかも……? 【[編集済み]事件の再審。被告人 フエグチヒナミ、無罪の可能性が浮上】 『東京拘置所』関係のニュースと言えば、その一つくらいしか他にはない。 しかし、ここが安全かと問われれば難しい。 先ほど噂で、遠野英治が病院で目覚め、そのまま早退したという話を聞いてアイリスは思いつく。 ならば――『病院』だ。 不動総合病院。 ここであれば、拘置所ほどではないが『神隠し』の噂をする場所でも、広まる場所とも言い難い。 少なくとも、アイリスの知る範囲の話だ。 もっとちゃんとした場所を確保するべきだろうが、一先ずここに少女を隠すようナイブズに伝える。 正直な話。 こうも簡単に少女を保護できたのは、アイリスにとっても予想外だったのだ。 ひょっとしたら、少女も自分と同じように聖杯を欲しがっているなら、抵抗もありえた。 少女も少女で、彼女なりの決断をしたのだろう。 神隠しの少女。 話をしてみたい節はあるが、それが叶わないのが非常に残念に思うアイリス。 不動高校にチャイムが鳴り響く。 ついに下校時刻だ。 学生寮で私服に着替えてから、まずは――遠野英治の自宅周辺の撮影でもしようか? 悩んでいるアイリスのところに生徒たちの騒ぎが耳に入る。 向こうの――板橋区で火災が発生したという話。 そこに刺青男が現れたという噂。 また不動高校一年生の少女が、彼の共犯者ではないかという信憑性が定かではないもの。 葛飾区内で大槍を持った女が暴れている。 騎士のコスプレをした男が、大槍の女性と対峙している。 そんな話。 「………」 アイリスが踵を返した。 学生寮へと真っ直ぐに帰宅。カメラを手にして、江戸川区へ向かった。 「まだ……貴方と会うのは先になりそうね」 アイリスの意志は確かなものだった。 聖杯が欲しい。願いに対する欲が並の人間よりも強い。 だからこそ、刺青男と――アベルと対峙するのは避けられないと確信している。 ならば……『もう一度』彼に勝つのだ。 ゲーム上とはいえ、一度は勝利したアイリスだから言える。 聖杯の為に、アベルに勝利するには――まだ無理だ。『棺』の破壊をしなければならない……… 自由への障害に『彼』がいるなんてのは、過去の皮肉ではないか。 だけど、次は失敗しないようにすればいい。 前回はきっと。暗殺を拒んでしまったのは……失敗だったのだ。 アイリスは、彼女のやるべき方へ進んで行く。 【三日目/夕方/葛飾区】 【アイリス=トンプソン@SCP-Foundation】 [状態]魔力消費(微)、神隠しの物語に感染 [令呪]残り3画 [装備]SCP105-B [道具]携帯電話、勉強道具 [所持金]そこそこ余裕がある [思考、状況] 基本行動方針 聖杯を獲る。 1:神隠しの噂に関する書き込みに注目しておく。 2:安藤潤也、遠野英治、アダムの自宅周辺を撮影する。 3:『棺』の捜索のため情報を集める。 4:神隠しの少女(あやめ)を匿える場所を探す。 [備考] ロールは不動高校一年に留学してきた学生です。 神隠しの物語に感染しました、あやめを視認することができます。 あやめを視認すると同時に神隠しのカウントダウンが始まります。 →神隠しの少女(あやめ)がマスターではないかと推測しております。 また現実世界で神隠しの少女(あやめ)を視認する事が危険だと推測しています。 聖杯戦争について歪曲された情報しか持っていません。 安藤潤也と神原駿河の住所・電話番号を入手しました。 新宿区の事件とフードを被ったのサーヴァント(オウル)と桐敷沙子の存在を把握しました。 また、桐敷沙子が『人ではない』と確信しております。 葛飾区にある不動高校の学生寮に住まいを持っております。門限は夜10時(22時)までです。 遠野英治の住所を把握しました。 ライダー(幼女)とライダーのマスター(平坂)、キャスター(ヨマ)の特徴を把握しました。 また、ライダーの宝具『SCP-682』の特徴を把握しましたが、SCP-682であると確信していません。 神隠しに合ったマスターの存在を把握しました。 東京拘置所で発生した不審死について把握しました。サーヴァントによる魂食いと判断しています。 板橋区でアベルが出現した噂を知りました。 ◇ 飛鳥とカラ松は、居てもたってもいられず。自力で現場へ向かったのだ。 中学生とコート一枚羽織っただけの不審者。 誰も彼も、刺青男の存在や火災の規模へ関心が向かい。 雪崩れるように移動する人々に隠され、二人の存在は浮いたものではなくなっている。 何より―――異常な光景を目にしたのだ。 空を飛ぶ大槍を携えた女性。 炎を纏い、大槍がビルなどの建物を破壊しながら葛飾区から板橋区方面へ向かう姿…… 都内を徘徊する不審者なんかより、彼女が注目されてしまった。 「ランサーだ!」 驚愕と興奮が混じった声で飛鳥は叫ぶ。 マスターである彼女は、遠目ながらもクラスやステータスを視認していた。 「うあぁ………」 あんなものと戦わなければならないのか。 カラ松は街を破壊しながら移動する狂った半神に絶望する。 彼は飛鳥とは違い、恐怖だけが渦巻いていた。 どうやらランサーも板橋区へ向かっているようだった。急がなくては、飛鳥は走り出す。 しかし、葛飾区から板橋区まで足で移動するなんて無謀だ。 それでもカラ松と飛鳥は、それぞれの理由で足を動かしていた。 興味本位で現場へ向かう人々。事件の真相を掴む為に、急行する報道陣。 現場に急行する救急車や消防車。刺青男の噂を聞きつけてか、パトカーもちらほら居る。 必死で駆け抜け、どれほど経過しただろう。 人々は再び動揺の声を挙げた。 再びランサーが遠目から確認できた。大槍はより一層巨大化しているように感じられる。 ランサーは何かを追跡しているかのように思えた。 飛鳥も、ソレが刺青男なのか。それすら確認出来ず終いである。 「駄目です! ここから先は火の手が回っております! 皆さん、避難して下さい!!」 彼らは漸く、東京都北区に到着した。 しかし、どうやら板橋区の炎がこちらまで猛威を振るっているらしい。 消防隊員が市民に避難を呼びかけ続けている。 同時に彼らの懸命な消火活動は、無為に終わろうとも行われていた。 だが、カラ松は黙っていられない。この先には、家が、そこには兄弟たちが――…… 「俺の家は――どうなったんだッ!!?」 「な、君!? なんだその格好は!」 現場に居合わせた警察官が露出狂を確保しようとするが、そんな状況ではない。 家は? 兄弟は? 無事な訳がない。それでも確かめずにはいられない! 混乱するカラ松の代わりに、飛鳥はどうにかフォローしようと考えた。 「あの……どうやら、入浴中に避難したらしくて。こんな状態らしい」 「ん? あぁ、そうだったのか。おーい、誰か毛布を持ってきてくれ!」 この状況では警官も納得したらしく、酷い姿のカラ松は毛布のお陰で大分良くはなった。 むしろ、一変し。哀れな被害者として人々の目には映る事だろう。 カラ松は何とか警官に聞く。 「……い、板橋……今、板橋の方はどうなって………」 「あそこから避難してきたのか。そりゃ大変だったな……あそこはほとんど全焼に近い状態だ」 「………っ!!」 板橋が全焼。 自分の家も、デカパン博士の『デカパン研究所』も、何もかもが――消えた。 炎を撒いたアヴェンジャーとしては、別にカラ松を不幸にさせたい一心で行った所業ではない。 彼の殺戮者・アベルとの戦闘における些細な被害としか受け流していない。 だけど。 カラ松や、彼のような被害者たちには冗談では済まされない。 こんなもの納得できない。 幾ら偽りであったとしても、安心できる家や家族を失ってしまったのである。 対して、飛鳥は違う。 飛鳥はカラ松に何一つしてやれない。家族に相談して、ある程度の支援を施せるかもしれないが。 そんなもの意味はなかった。 感謝をしてくれても、飛鳥を妬ましく思う事だろう。 飛鳥は少女でしかない。そんなものに耐えられるほど出来た人間ではない。 未熟な人間だ。 しかし、思う。 自分は――優しい世界で生きてきたのだ、と……… だからこそ、聖杯戦争に不安を抱くのは当然なのだ。ずっと、そこで暮らしてきた。 飛鳥もカラ松と同じく、現場から避難を余儀なくされる。 彼女の方はここらの住人ではないが、そのまま避難所に案内された。 悲しみと恐怖、孤独、空虚に満ちた人々で溢れ返っていた。 最初はこんなものだろう。 いづれは、刺青男に恨みを抱いたり、やるせない苛立ちを誰かにぶつけたり、不満を漏らしたり…… 地獄のような光景が続く事だ。 きっと、明るい気分にさせようとライブを行えば、逆に帰れと罵倒されるに違いない。 「くそ……! なんなんだよ!! 警察は早くあいつを捕まえてくれよ!」 違う。 刺青男は――火災なんて起こしていないはず。 彼は蛮人であり勇敢な殺戮者なのだ。 ここで沢山の生贄を殺し尽くしたに違いない。だけど……飛鳥は手を握り締める。 こんな事はしていない。 自然と『彼』を調べていた飛鳥だから分かる。 彼は優しい感情なんてないし、どこか良心が残っている訳でもない。 だけど――何故だろう。どこか惹きつけられる魅力は、確かだった。ただの犯罪者なんかじゃない。 彼は確実に人類を殺戮するが、今回のような所業は行わない。 こればかりは無実なのだと――それを主張する勇気も、立場も、飛鳥にはなかった。 鞄の中から、どこかの誰かに似た名無き人間から貰った香水を取り出す飛鳥。 「……志希」 キミも『彼』が怖いと思うだろうね。 ボクもそうさ。 きっと『彼』はこの世の誰よりも、あるいはどの英霊よりも恐ろしい。 それでもボクは『彼』と向き合わなければならないんだ。 同じ舞台に立つ役者として……かな? ボクはまだまだ未熟だ。人間としても、アイドルとしても。 ヘルマン・ヘッセも云っていたかな。 『卵は世界』だとね。生まれる為には殻<セカイ>を破壊しなければならない。 ボクは……… 「ボクは―――行くよ」 卵の中は安全さ。 だけど、それじゃいつまで経っても飛び立てない。 ボクは往こう。誰でもない、ボク自身の為に。 例え誰が望んでいなくても、『彼』がどうでも良くとも。ボクは納得していないんだ。 こんな人々の受け入れ方は……駄目だ。知るべきなんだ、聖杯戦争というものを。 手段は分からない。暗雲がかかって光すら望めない。 それでも。 ボクは彼らに『伝えたい』。誰かに『伝えたい』んだ。アイドルがファンに歌を届けるように―――……… □ 殻<セカイ>を壊して、鳥は飛び立つ。 ◆ 「気のせいか」 曲識は周囲を見回していた。 彼は、枯れ草に鉄錆を混ぜ合わせたような独特な香りが鼻についたような気がした。 その正体は、単純に都会の悪臭か何かだと判断する。 曲識と明は葛飾区から距離を取り始めていた。 サーヴァントの足を以てすれば、短時間でこれほど移動するのは造作もない事。 遠くの方面で、何やら黒煙が立ち上っているが、明は一先ず話を進める。 「代々木公園か……」 明もまた日本にいた人物だ。 その名に覚えがあるし、それが渋谷区にあるのも記憶に残っている。 例の神隠しに関する書き込み……あれが事実ならば、キャスターが陣地を張っている可能性がありえた。 「コイツの攻撃手段が『神隠し』というのが厄介だな。直接、相手をするよりもマスターを狙った方がいいかもしれねェ」 今は影響がないが、サーヴァントも『神隠し』しない保証はなかった。 特殊な能力を持つ相手を、無暗に刺激するよりかは。 いっそのこと相手にはせずマスターを狙う作戦……普通なら曲識が「悪くない」と返事をしそうだが。 引っ掛かりがあるようだ。 「『元』コートのアサシン。『少女』を何だと思っている?」 「サーヴァントだろ。お前もそう思って、俺に情報を差し出した筈だ」 「サーヴァントと判断するか、それも悪くない。 僕はてっきり彼女は『アサシン』かと思っていた。『キャスター』というのは……まぁ一理あるだろうが」 「……そうだな」 神隠しが本領と聞けば、明も曲識と同じく少女が『アサシン』ではないかと思う。 現に、この二人は同じ『アサシン』なのだが。もう一人くらい『アサシン』が召喚されていても……無い話ではない。 実際、書き込みで返事をした内容に使用されたクラスは『キャスター』。 どうにも、曲識は受け入れがたいらしい。 「クラスを疑うにしても『神隠し』の能力は分かっている。警戒する必要はない」 「必要はあるぞ。キャスターなら、僕たちは陣地の破壊を優先するべきだ。候補は勿論、代々木公園。 最悪、既に罠を張られている可能性は否めない。だが、それはキャスターであった場合だ」 「……だが、陣地そのものが『神隠し』の領域を示しているかもな」 「ふむ、その辺りは不毛の論争になりそうだ。話を切り替えよう」 決して明も曲識も、真っ向勝負ができないサーヴァントではない。 しかし『神隠し』という特殊な能力を相手に、真っ向勝負など難しい話だった。 簡単に行くか? 無論。曲識もそうは思っていない。 むしろ、彼は――神隠しの少女を殺害する意思が強かった。 少女しか殺さない殺人鬼。少女趣味。 だからこそ、あえて――神隠しの少女を殺害する隙を狙っている。 曲識は続けた。 「マスターを狙う作戦は上手くいく保証はない。最悪、サーヴァントに捕捉された場合の作戦を決めておこう」 あまり信頼しきっていない相手に手の内を見せるのは、明も気が引ける。 同盟を組む以上、ある程度の情報公開は止む負えないとしても。 最小限の情報だけ明は告げる事にした。 「俺は……真正面からある程度やりあえる。お前は『音』でどこまで戦える?」 曲識は少々思い詰めた様子で答える。 「生憎。衝撃波を出せる楽器が手元にない。可能なのは、警察にしたような心身操作ぐらいだ。 尤もそれを敵に行うか、あるいは……」 「?」 「いや、止そう。敵に精神操作を遮断するスキルがあっては、僕にも操作(足止め)が不可能だ。 それ以外では音で足音をかき消し、気配遮断の精度を高められる」 曲識にも明を音で操り、戦闘させる。 そんなスタイルも取れたのだが、明は曲識を信用しきってはいない。許しはしないだろう。 明の方も、曲識の『音』に警戒している筈。 サーヴァント故、可能な長距離移動だったがついに終わりが見えた。 明が既に日が暮れ始めた空の下。あれだろうと指示す。 「見えたぞ。代々木公園だ。……何か様子が変だな。既に戦いが終わった後か?」 気配遮断を纏ったままアサシンたちは渋谷区へ到着した。 周辺にいる彼らから聞けば、把握はできるだろう。 ……が。 情報は嫌というほど入手できるこそ、訳の分からなさが広まって行く。 明も奇天烈な化物を相手にしてきた戦士であるが、それにしたって異常なものだった。 「でけェトカゲに女の子が乗っていたらしい。ライダーにしても変な奴だ」 「女の子か。悪くないが、果たして年頃はどの程度だ?」 「幼稚園児ほどの子供……少女というよりは『幼女』だな。神隠しの少女とは別人だろう」 「幼女……」 少女を殺害するのをモットーとする曲識でも、幼女というのは微妙だった。 何でもかんでも幼い女の子だけであればいい訳ではない。 言語が理解できるかも怪しい年頃の子ども……悪くないが…… 今は、神隠しの少女だ。 大トカゲに騎乗した幼女の目撃がある以前に、この渋谷区内でガス爆発が発生したと聞く。 少なくとも、まだ近辺にサーヴァントが潜伏してても可笑しい話ではない。 下品な『青』が痛々しい『赤』へ、そして『黒』に塗り替えつつある頭上。 空は厚い雨雲に覆われている。 隙間から夜空が見え隠れするが、今晩は美しい月が望めないようだ。 曲識はふと呟く。 「天候が崩れ始めたのは最近らしい」 「天気? なんだ。変な話の切り出し方をしてきて」 聖杯戦争とはあまりに無縁な天気の心配なんて、明は一切していない。これは当然だろう。 曲識も、格別確証を得たつもりではない。 世間話程度のつもりなのだ。 「一部地域では氷点下を観測したと云う。あまりに『春』らしい気候とは思えない。 もしかすればサーヴァントの仕業……それも悪くない」 「何が言いたい。まさか、天候を操るサーヴァントが居るとでも?」 「そうではないんだ。『元』コートのアサシン。僕たちはある可能性について語り終えていない」 「どうして先にそれを話さなかった」 むしろ渦中へ到達する以前に話し合うべきだろう。 明が曲識に対する疑心を強める一方、燕尾服を着こなす音楽家は至って冷静だ。 「あまりに低い可能性だったからな。正直、話す必要性がないと僕は判断してしまった。 マスターやサーヴァントをただ捜索するのも飽きるだろう。その暇つぶし程度に聞いて欲しい」 例えるなら音楽を嗜むように。 曲識が話そうとしているのは――些細な天候の変化がサーヴァントの仕業では? と云う。 それ程、信憑性のない話。 そういう意味だ。 明は仕方なしな様子で、言葉を傾ける程度にしようと判断する。 「神隠しの少女が『マスター』という可能性だ」 「それはないだろう」 「だから、僕も話さなかったんだ」 成程。明も頷いた。 「しかし……少女のサーヴァントがキャスターで、あのような書き込みをしたのなら。それはそれで合点がいく。 僕が『あの噂』に注目したのは、少女の『詩』とそれを称賛する内容が理由だ」 数多の噂の中で、例の噂だけが浮いている気がした。 それが曲識が書き込みをした動機。 曲識も、少女こそがマスターで、サーヴァントが傍らにいるのを想像できたが。確証はない。 可能性の一つでしかない。 現実的に考えれば『怪異』そのものがマスターになるのは規格外だった。 「その説に自信はねェのか」 「悪くないと思うくらいだ」 曲識の返答では程度の具合すら測れない。結局、自信がないのだ。 明も「まァ。最悪ありえるか」としか聞き流していなかった。 だからこそ、マスターと思しき群衆の方に視線を向け、魔力の程度を伺うのに意識を集中してしまう。 気配遮断を纏っているとはいえ、彼らも実体化している以上。視認は出来る。 何かの切っ掛けがあれば、人々にも目に入る。 そして―― 「おい……お前ら………何、してやがる……?」 低確率の可能性。 それに気付いた時には、明は近くのビルの屋上から見降ろす魔法使いの姿を視認した。 ―――あれは杖! まさか……キャスター!? だが、公園から離れている。どうしてここにまで!? 明は、疑問が尽きないものの。今は、曲識に教えてやるべきだった。 夕刻。 この時間は太陽も月もある。 故に、どちらの恩恵も受けづらい絶妙な時間帯でもあった。 それでも光はある。 明が発見したキャスター・ヨマは戦闘態勢を取ろうとしている。 咄嗟に、明は丸太を出現させ、曲識に伝えた。 「キャスターだ! まさかと思うが『神隠し』のサーヴァントかもしれないぞ!!」 「……確かめてみよう」 確かめる? 律儀に「神隠しの少女のサーヴァントか?」なんて質問をするんじゃねェだろうな。 と、明は曲識に不安を覚える。 予感は的中しなかった。ある意味、それを凌駕する内容だった。 「あの噂を書き込んだのは、お前か? 随分と彼女の『詩』を褒めていたようだが、彼女にそれを伝えたのか? 折角の機会だ。お前の代わりに僕が彼女に、お前が書き込んだ噂の内容を教えてやろう」 よりにもよって。 先ほどまで幼女と怪物相手に苛立っていたヨマに対し、 曲識の挑発的な発言は決定的な理性の切れを引き起こすものであった。 静かな怒りを込めた声色でヨマが答えた。 「殺すぞ………!」 「良し。『元』コートのアサシン、奴は間違いなく『神隠しの少女』のサーヴァントだ」 明は素直に思う。―――酷ェものを見た。 かくして予想外な形で戦闘の火ぶたは切られる。 ――――『串刺城塞(カズィクル・ベイ)』―――― 猟奇的な槍の投擲によって、ヨマは貫かれた。 そう。 曲識も『キャスター』や『神隠しの少女』に意識を向けすぎたせいで、記憶の片隅に追いやっていた。 決して、忘れたわけではないが。警戒を疎かにしていた。 ランサー。 神隠しの噂に書き込みをした、他の主従の存在。 満を持して真紅の武人が、殺人鬼と戦士……それから魔法使いの前に登場を果たす。 「他愛も無し! 恩恵も得られぬ身ではこの程度か、汚らわしい魔術師。 ならば―――そこの新手よ。貴様らの方は骨のある奴か、否か……!!!」 怪物じみたランサー相手に、明の持つ丸太はあまりに場違いな武器だ。 それでも、明はどこかでランサーに丸太が通用するかもしれないと感じ取る。 そして、音楽家でありながら殺人鬼でもある曲識は、最悪最低な状況下であってもマイペースに口上を告げた。 「零崎を始めるのも、悪くない」 時系列順 Back 正義の輪舞 悪の祭典 Next 続・桜田門外の変 投下順 Back 正義の輪舞 悪の祭典 Next 続・桜田門外の変 ←Back Character name Next→ 020 トド松の不安をよそに聖杯戦争は開始する 松野トド松 026 続・桜田門外の変 セイバー(フランドール・スカーレット) 024 世界 止めて アイリス=トンプソン セイバー(ミリオンズ・ナイブズ) 020 トド松の不安をよそに聖杯戦争は開始する カナエ=フォン・ロゼヴァルト ランサー(ヴラド三世) 平坂黄泉 ライダー(SCP-053) あやめ キャスター(ヨマ) 023 松野カラ松の弥縫策 二宮飛鳥 アサシン(零崎曲識) 松野カラ松 アサシン(宮本明)
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名前:スケルトンリーダー Base:15900 Job:13480 サイズ:中 Lv:73 種族:不死 属性:不死1 DEF:40 MDEF:20 HP 12530 特性: アクティブ 多段攻撃 ソニックブロー 取り巻き召喚(アーチャースケルトン ソルジャースケルトン) ドロップ: 闇にしずんだ刃 低級武器図面 中級武器図面 高級武器図面 兵法指南書() 邪悪な台紙Lv4
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フェムトファイバーの組紐 No.0055 フェムトファイバーの組紐 サポートカード 配置:リーダー 呪力3 [充填フェイズ・戦闘フェイズ]常時 自分のリーダーは特殊能力を使用できない。 [戦闘フェイズ]常時 自分のリーダーが持つ決死判定は効果を発揮しない。 イラスト:ほた。 考察 リーダー能力の一部と決死判定を封印するリーダーサポート。 上効果により使用するタイプのリーダー能力を封印する。 あくまで使用出来ないだけなので、燐やパチュリーなどが持つ永続効果までは封印出来ない。 リーダー能力の多くは序盤から使える代わりにコストが重いものも多く、そういったリーダー能力を封じたところで大勢に影響はない事も多いが、微調整が必要な終盤では明確なデメリットになるため侮れない。 下効果により決死判定を行えなくする。 素で回避可能なまでに回避を上げなければ回避出来なくなるため、状況次第で余計に呪力を使わされる羽目になる事請け合いである。 総じて、回避キャラに対して有効。 特に文は上効果により回避値の微調整が出来なくなり、下効果で決死判定を封じられ、回避に延々と手札と呪力を使わされるので天敵といえる。 リーダー能力で回避を下げる鈴仙や衣玖なども回避性能が大きく削がれて動きにくくなるだろう。 一方で回避する気のないキャラには効果が薄いが、回避2相手に必殺「ハートブレイク」が決死されなくなる利点はある。 攻撃を上げる一輪やレミリアなども一応はリーダー能力での打点上昇を封印してくれるが、呪力に余裕がない序盤ではほぼ使われないため効果は薄い。 なお、フランドールに配置すれば序盤から手札を捨てて火力を上げられる事がなくなる。 禁弾「過去を刻む時計」で回避されにくくなるため配置するのも悪くない。 萃香に配置すると決死判定コストを下げられなくなる。 一見回避2なので効果が薄いと思いきや、デッキを自ら削りにいけなくなるので小さな百鬼夜行のためのデッキ枚数調整が行えなくなる。 霧化で解除出来るとはいえ一応留意しておきたい。
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マーマン・リーダー モンスターレベル=4 知名度=13 敏速=16 移動速度=3/20(水中) 出現数=単独~数匹 出現頻度=まれ 知能=人間並 反応=中立 命中=武器:10(3) 威力=8 回避=12(5) 防御=6 魔法防御=4 生命力/抵抗値=15/12(5) 精神力/魔法抵抗=17/12(5) 特殊能力=水中適応 生息地=海中 言語=マーマン語 知覚=五感(増光)
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セイバー XスレYレス目 未練一覧 / ̄,二ゝ、 / / `ヽ\ ,ゝ‐v-壬ネ ̄ヾヽ.. / / /´`ヽル',ィゝ、 `ヾミ、>、"i`ヽ. /, ' ./ ,ィヽゝ'メハ ´、`ヽ. `ヾ.ヽゝ、 .i!、 i/ / /'´, " .、 ヽ ヽ ∨i./ .i i / , ,' ' i i ハ 、i 人i 丿 ヾ、 / ./, , i | i i i i i ゙iノメ、i丿 セイバー(ネロ・クラウディス)(享年:???) ∨ / , _i___i_.i! ! !、,ィ‐!-!i-!- .i/'i.ノ,' i .i .i .i ト、i、`i`ハ. i、 !´ゞ彡三ミ ト、レ'_ ポジション:ソロリティ l i !人i彡三ミミ ゝ^' "´i! i ゚! i!i. i |` i、 .`ヽ. クラス:タナトス / タナトス ! 乂 | ト. f! U゚ i ゞ¨ c.l | .!,丿 メ 初期配置:煉獄 人 ヽ!リ、i 廴゚ノ , `¨¨´ i ! ハ )_/ 行動値:11(6+5) 乂 V `! r‐ ―、 .ィ! ,'∧,、_\ ヘ 、i ゝ、 乂 ノ. ィ≦リ ,ノ `´ 暗示:喪失 ヘ从 __`¨ フ ¨i i ,メyイ'/ __,ィ 《 ̄`ヽ、_//´,,|| ィ". //`ヽ〆ヘ .`ヾ. /,// __ 記憶のカケラ ヾ.、=/ ィ`、,ヘy=.、'/―‐v―‐i .,ゝ=、,ヘ.''| i,イ―フノ 08:笑顔 ,ィ=ヾ i_, '´`,、i=゙ヽ /◯ヘ ヽi`yく_ヘ 〉'=‐,ィ/ 99:ネクロマンサー 〃_‐=‐`ヽ、__丿=ゞ、. ヽ◯/ ノ>ト、 ./、≠'イ》 ー―┬‐,イ 〃/i∥ii´_/. o≧个≦o//´ゝ‐'!! ト、ヾ\' 未練 《 i i /、,ii .i|'.\o》ニ又ニ《// '"/^||/,ヘ、〆 たからもの への 依存 ●●●○  ̄ヾ、//. ヾ.ノ. //´\=/ヘヾ、/\!/ ほむら への 依存 ●●●○ /. //、 ,ベ、 ヽ ルリ への 保護 ●●●○ . /. // \ / ∨ .ヽ (ハルヒ) への 独占 ●●●○ /. // ヽ. `´ / ∨ .ヽ /. // r一イ ∨ .ヽ . /. /,ヘ. i ! .∧ .ヽ ___ , ' ⌒ヽ、 r‐ァ_'´ ` /、 ヽ r‐ァ'´ ̄/ / / / 、\ ', _V / / 〃/ /. / ./l i| ...lヽ ヽ ', 〈i/ . / l . |l .l ハ、l ..l;;l i| l . ', ', ! ハi ... l . . l ..|トiVィ= 、 ト、l i| l lハ l l l、 ノ ヽiト、/^l l . ', Vト代zj ヾ l ハlノ .リ !、 l \ /lヽl l l .. ', l ヾl jノ ',.- ル' i N }}ーz、ハ _l⌒l、 ヽミヽ l l . ...ヽl\ {iカハ l 、_,{{ v }{ `t.r' | | ', └ ミ.l ハ .. . ヽ\ 〉' ...ヽ ヽ}t、 ^ / | |_,ヽ _,. ',.ィ´  ̄ `ヽ .ヽ ヽ ̄ ` イ . . l . . l ..\. z、ハ{ハ. _,ハ zL イ } r ' zZ三l l三三ミ、 .', l l ', l / N、 .l、 . l .ヽ .', }}^=V Yヽ l lミ彡! 、 ー 、 //三U z、三ミミ', l |l N ¨´.. } .l ヽl lV. Z^^´ ` ヽ ヽ l/==ミ{ .'^iT '''´_,/,. -─- 、ヽ i i i ', lノlノ ii\\/ヽ ,ル' _Vi | ft ` _ lヽ_〉 |i i| //`ヽ、 ..─‐--....i i || i i i }',lV/^ー^ヽ VハVス ─ 、ルヽ、 _,.ミz }} `{ヽ\|i i| __// i}, i i ||///;;;〉' . \ > \ \〈 tュ rヘヽ ヽ ` |i i|.。| | iハ ,zi /i 〃/;;;/ 、_ V´i i i | ヽ \ Z、__,. z≧、 <二 |i i| __〉〉 ;;;;;;;/ , イ 二彡イ/ , '´  ̄ ヽ`ヽ丶 | V  ̄ 弋ー‐ // |i i| z'/;;;;;;;;;;;/- ' l;;;;;;;;;;;;;〃/ ', .Vi'^ヽ \/イ_,.. }}三{{ ` ー '´ l;;;;;;;;;;// . . . . l i} . .\  ̄ /ハヽ 、;;;;;;//;; ,. - ,.z、 / / l lセイバー (頭5 腕5 胴3 足5) 11/11:■■■■■ ■■■■■ ■ 頭:のうみそ めだま あご アドレナリン(行動+) カンフー(行動+) 腕:かた うで こぶし 隕鉄の鞴(武器) アサシンブレード(武器) 胴:せぼね はらわた はらわた 脚:ほね ほね あし 仕込みブーツ(武器) たからもの ○○へ移動 ★★★ ※ ○○を全力攻撃 (射程:0 全体+連撃) ★★★★★ ★+ ※ ○○を通常攻撃 (射程:0 全体) ★★★★★ ★ ○○を弱攻撃 (射程:0) ★★ ※ 1ラウンドに1回まで使用可能[[[ 割り込みコマンド ]]]――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※ セイバー:【号令】を使う ★★ 全員で一斉攻撃を行います。 使うタイミングと対象を指定するとなおよし。 セイバーを名乗るなぞの美少女剣士。 キワドイ衣装がトレードマーク。 可愛いモノ、美しいモノに目が無く、それは人間(?)に対しても同じで男であろうと女であろうと 構わずホイホイ喰っちゃうのは原作どおり。 姉妹達のなかで一番外の世界や今のこの時代の現状について理解や知識がある。 しかし、中には語りたくないこともあるようで、ハルヒへの説明が不十分だったのは 上にいるルリやほむらが心配だったこともあるが、あまり語りたくないというのも理由のひとつ。 ポジションは「ソロリティ」で、姉妹たちのリーダー的存在。 スキル【号令】は割り込みタイミングで姉妹達全員による一斉攻撃を可能とする。 クラスはメイン・サブともに「タナトス」で、白兵戦を得意とする。 自作の長大な剣(【ジョギリ】相当)の他、【仕込みブーツ】や割り込みで攻撃可能な【アサシンブレード】などを所持。 これらを使って瞬時に敵を解体する 【無限解体】 + 【災禍】 + 【刹那】 のコンボを得意とする。 セイバーの戦闘コマンド例: ・ 移動 ・ ○○に全力攻撃 ・ ○○に通常攻撃 ・ 「号令」で一斉攻撃 「みんなを支え導かんと、強くありたいと願う少女」 戻る
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タイトル 【ガイアセイバー】実況という名の弾劾 part5 動画を見る 投稿日 2009年01月25日 23 01 今月の色 パーティ アムロ・アマゾン・レオ・マーク→マーク離脱 シナリオ 第1話 FROM THE DAY AFTER 投稿者コメント 月刊ガイアセイバー09年1月号。ヒーロー側、悪の秘密結社側、双方から滲み出るこの『惰性』・・・くぅ~、たまらん 内容 全国50人のガイアセイバーファンへメッセージを送るふひきー 今回東京で誘拐された首脳を探すところから。 前回発見しセンタービルの地下にある怪しいハッチへ向かう。マークがハッチを開けると防御アイテムであるマンホールの蓋が手に入る。 地下にはショッカーの基地が。探索を始めると何もない部屋に何もない本棚を発見。なぜあるのかとふひきーは疑問を投げかける。倉庫には囚われた人が働かされていた。逃げられそうな施設だがなにやら苦しいと呻いている人も。そして無人の会議場を発見。ショッカー達の生活が垣間見えるなんともほのぼのとしたアジトである。 管理室でショッカーを発見するとアムロはまた無言で敵に近づく。アムロに近づかれドン引きしているショッカー、マシーン大元帥と戦闘に突入。戦闘システムについて話しているとすぐ勝ってしまい雑魚丸出しの捨て台詞でマシーン大元帥は逃げていきマークが追う。 あまりにお粗末なイベントに「RPGツクールで5分で作れるよ」と憤慨する。 イベントは終えたもののまだ首相達の居場所はつかめないので探索を継続。面白くないのでRPGについてトークを始めるふひきー。サガフロンティアと聖剣伝説2が好きらしい。続いてRPGの世界観や戦闘の面白さについて熱く語る。 探索を進めると首相達がとらわれた牢屋を発見し開放する。 サッチャーを思わせるイギリスの女首相、フランスの首相、ドイツの首相からまた同盟いじめが。アメリカの大統領は一応労うものの腹黒く、日本の首相からは罵倒され警護を命令される。基本いい思いはしない。 そしてストーリーにひとつの区切りが。 〔ヒーローたちの「同盟」により 首相たちは無事救出された しかし これは これから始まる くるしい戦いの はじまりにすぎないのだ・・・〕 〔人類滅亡まで あと 93億人 つづく〕 〔ヒマラヤの爆発!オーストラリアでの決戦!敵との戦いは はてしなくつづく はたして ヒーローたちは 地球を救えるのか? 地球を 守ることはできるのか? 運命はキミの手にかかっている TO BE CONTINUED!〕 こうして第2話が始まると場面は科特隊本部から始まる。 おやっさんによると世界で異変が起こっており、火山でないはずのヒマラヤが爆発しそうだという情報が。先行したV3からは連絡が途絶えたために続いて行ってもらいたいという。 そしておやっさんとブライトが話し合うモーションが発生するが何の意味もなかったため「なんなんだよ今の茶番は!いらねーだろ!」と突っ込みが入る。 命令されとりあえず基地内の人間に話かけるとおやっさんからヒマラヤの様子を聞かれ「まだ行ってねえよ馬鹿!」と再び。今回はずいぶん突っ込みが冴える。 首相の救出で満足したふひきーはアイテムを確認し動画を締めた。 その他 主なタグ 前の動画 次の動画
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今日 - 合計 - ディノブリーダー3 ~ガイア復活~の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時19分10秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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キャプテン・リーダー 光 R 3 2500 キカイヒーロー ■このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から2枚を表向きにする。その中にグレートメカオーがあれば、手札に加える。その後、それ以外のカードを元に戻す。 F 「さあ大将、暴れるならこっちですぜぃ。」-キャプテン・リーダー 作者:匿名 光の手札補充。 MAX2枚まで補充可能。 3マナでアタックトリガー2枚は結構大きい。 収録 《竜虫ヴァルハラ戦争》
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タイトル 【ガイアセイバー】実況という名の弾劾 part14 動画を見る 投稿日 2009年10月25日 18 03 今月の色 赤っぽいピンク パーティ アマゾン・レオ・RX・マン シナリオ 投稿者コメント 月刊ガイアセイバー09年10月号。ぜんぜん進めなかった。なんか締め切り間際で「もうどうにでもなれ」という気持ちで提出したレポートの出来上がり具合に似ている気がする。 内容 今回はため息から始まるという乱暴な始まり方。 ニューオーリンズの広場に行くとなにかいりようかいの人がいて高価な装備が。Zシールドを買う。 前回のイベントの続きを回収するため市長の家に行くと市長の家族から感謝される。しかしそれだけであった。 なのでシカゴへ。ふひきーは先の回で言った他の人のガイアセイバー実況の話をしだすが先月その実況動画は終わったらしく彼を祝福する。ふひきーは取り残される形となった。 途中、ニューヨ-クへ立ち寄り、ステートビルを探索する。するとジョージという人間を発見。エレベーターから降りた目の前にいるがなぜかノックなしで入ってきたことを怒られる。 連邦ビルはの4階はなぜか牢屋であった。NYビルでは上階に住んでいる占い師マダムミッシェルの話を聞き会いに行くが用心棒がおりマスターカードがないと会えないらしい。 その他探索して回りウルトラ警備隊基地へ。格納庫でなにかいりようかいの人を発見。さっき話題に出た実況者からテレポートカプセルを買ったほうがいいとメッセージが来たらしいが今回は買わずに立ち去る。 次はアーサーの家に行くが紹介のない者は会わせられないと門前払いを食らう。有象無象ばかりのセントラルパークを経てAアパートに行く。テンションを無理やり上げて台詞を読むがテンションダダ下がりで後にした。結局ニューヨークで収穫はほとんどなかった。 なのでシカゴを目指すすると川の対岸に町を発見。間違っていたら腹をかっさばくと宣言し向かうと案の定シカゴでありふひきーは割腹せずに済み、視聴者は悔しがる。 シカゴの探索へ。シカゴビル、そしてサンライズホテルに行くがホテルは受付以外無人。受付にFuck youと暴言を残して立ち去る。ベイカーアパートには淫語をつぶやく女の子を発見。ふひきーは「ばかぁ!」と出ていく。 しかしそのほかは特に何もなく、シカゴファミリーの情報も掴めなかった。ふひきーは残念だと嬉しそうに言いながら動画を終了した。 その他 主なタグ 前の動画 次の動画
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I returned ◆5xPP7aGpCE 太陽が姿を隠し、世界は闇に支配される。 スカイブルーに輝いていた湖も表情を変え、まるで墨汁を蓄えたかのように黒く染まっていた。 ゲーゴゲゴゲコ 岸辺で無数の蛙が鳴いている。 人口を更に減らした島内でも小さな命は数多く存在していた。 彼らは島の出来事にも何ら関心も抱く事なく自由気ままに動いている。 その小さな音楽会が無粋な機械音によって邪魔される。 ぱしゃぱしゃと蛙達が慌しく散ってゆき、直後葦の茂みをかき分けて水面に小さな影が現れた。 ボートだ、二人乗り程度の小型艇がゆっくりと沖の方に進み出している。 船尾のモーターを操る影がある、生傷の癒えない超人が独りそこに座っている。 彼は、真っ直ぐに沖を見詰めていた。 その先で自分が成すべき事があると言いたげに。 やがてボートは闇に溶け込むように沖へと消え、余韻として岸に微かな波だけが残る。 それも長くは続かない、何事も無かったかのように蛙が戻って音楽会が再開される。 彼らは歌う、ただ無心に歌い続ける。 まるで―――悲しき魂を慰めるかのように。 ※ 「ボートが他にも有って助かったよ、ボクには泳ぐなんて無理だからね~」 自他と共に認めるカナヅチ超人、キン肉万太郎は操船しながら泳がずに済んだことを感謝した。 リングの起動と同時に岸の各所でボートが現れる、運良くその一つを見つける事ができたのだ。 「まるで巌流島の決闘みたいだね、するとボクは宮本武蔵って訳か~。コスチュームを用意できないのが残念だな~」 その笑いは常に明るくあろうとする彼なりの流儀、本心は真剣そのものだ。 振り向けばボートは順調に岸から離れている、やがては沖の水上リングも見えてくるだろう。 そして、視界を上げれば遠くに赤々と映える夜空が見える。 それが大火災による照り返しである事は万太郎も乗る前から気付いていた。 先程は大規模な爆発があって湖にまで音が届いた、市街地は非常に危険な状況とみて間違いない。 だが、わかっていながら万太郎に引き返すつもりは無かった。 「ハム、君は言ってくれたよね……仲間を信じて手分けして人助けするのが賢いやり方だって」 遠くでの火災発生、似たような場面は朝にもあった。 居ても立ってもいられなかったその時に賢い兎が助言してくれた、それを万太郎は覚えている。 あれ程目立つ大火だ、父上やウォーズマンがきっと駆けつけてくれていると信じて任せると決める。 「でも悪魔将軍がここにいるって事はボクしか知らない、あいつを止めるのはボクにしか出来ないんだ!」 強い決意を胸に万太郎は叫ぶ、それきり振り返らずに前だけを見る。 今、彼はたった一人で悪魔の将に戦いを挑もうとしていた。 だがコンディションは最悪だ、オメガマンとガイバーⅢ相手の連戦で肉体は悲鳴を上げている。 万全で無い状態での戦いならばノーリスペクト戦を始め過去に幾度もあった。 しかし今は適切なアドバイスで支えてくれるミートは居ない。 劣勢からの逆転を後押しするギャラリーの熱い応援も存在しない。 それがどれ程の不利か、ノーリスペクトが一人、ボーン・コールド戦を思い出せば誰にでもわかるだろう。 数の上でも4VS1、しかも相手は最強の将。 これ程悲観的な条件を突きつけられながら操船する万太郎に迷いは無い。 全てを承知の上でただ決戦の場を目指す。 「ボクは地球で六十億もの人間を守らなくちゃいけない……けど、今生きている二十数人も助けられなくちゃ帰る事なんて出来ないよ!」 全てが自分の責任で無いにしろ、みすみす他人が死んでゆくのを止められなかった。 それが万太郎には堪らなく悔しい、これ以上の後悔は絶対したくなかった 「ミート、凛子ちゃん、農村マン、キッド……そしてケビンマスク。ごめん、もう少し待ってて」 拉致される直前の万太郎は超人オリンピック決勝のケビンマスク戦に向け特訓中であった。 リングから落下するイリューヒンを庇って入院中のミート。 数々の場面で声援を送ってくれる万太郎がホの字のコギャル、二階堂凛子。 ミートの代わりにセコンド、そしてスパーリングパートナーになってくれた農村マン。 友情という固い絆で結ばれた親友、今頃は自らの失踪を逃亡と馬鹿にしているかもしれない対戦相手に一人一人詫びてゆく。 「必ずボクは帰るから。一人でも多くの人を救って帰らなきゃ決勝のリングに上がる資格なんて無いんだから……」 偉大な父親がかって巻いていたチャンピオンベルト、正義超人としての役目を果たさなければ勝っても胸を張って受け取れない。 誰も見ていないからといって逃げるという卑怯なマネはしたくない。 ザ・ニンジャの襟巻きが励ますように風に揺れる、今はそれだけが味方。 だが、万太郎の熱きハートは遠く離れた親友と確かな絆で繋がっている。 「見えてきた、でも妙だな~。プレッシャーとかが全く伝わってこないんだよね~」 ぼんやりとリングのシルエットが見えてきた。 進路を修正しつつ万太郎は静か過ぎる事を不審がる。 タッグ戦の最中で一番プレッシャーを感じたのはガイバーでも赤毛の少女でも無かった、セコンドとして控えていた悪魔将軍のオーラが最も万太郎を恐れさせた。 あの威圧感を今は残り香程度にしか感じない、胸中に一つの懸念が芽生えてゆく。 やがてリングの全貌が見えてくるにつれ疑問は確信に変わった。 「遅かったーーーっ!! 既にここはモヌケの空じゃないかーーーーっ!!!」 上陸したそこは抜け殻でしかなかった。 悪魔の将もビームで自らを撃ったガイバーⅢも消えている、プラカードを掲げた小さな審判は影も形も見当たらない。 さては自分が気絶している間に去ったのかと悔やんだところて後の祭り、これでは宮本武蔵どころか関が原に遅参した徳川秀忠だ。 一瞬戦わずに済んで良かったと安堵しかけたがそれは何とか押し留めた。 「ぐずぐすしてる場合じゃない! 早く奴の後を追わないと大変な事になる!」 万太郎は焦った、悪魔将軍の移動は次の犠牲者発生と同義なのだ。 必死に目を凝らして対岸を見渡すが夜の帳が落ちきってすっかり暗くなっている。 人影はおろか陸地と水の境目さえも見分けが付かない、勘だけで追うのは干草の山から針を探すも同然だ。書けるにはあまりにも分が悪い。 早々と追跡を諦めた万太郎が選んだのは逆転の発想、即ち―――『相手の方から来てもらう』 「悪魔将軍ーーーーーっ! オメガマーーーーンッ!! ガイバーーーーースリィィーーッッッ!!! ノーヴェちゃーーーん!!!! ボクチンはここだよーーーーっっ!!!!!」 万太郎は両手でメガフォンを形作りあらん限りの声で叫んだ。 南にも西にも、四方八方に向け繰り返し絶叫する。 「悪魔将軍ーーっっ!! お前の母ちゃんでーべーそーーっっっ!!! お尻ペンペンしちゃうからねーーーーーっっっ!!!」 コーナーポストの上でペシペシと尻を叩く。 低レベルの挑発だが悪魔将軍が聞いていれば必ず飛んでくると万太郎は思っていた。 ついでに他の三人も思い切り呼びかける。 「オーメーガーマーーンのツルッパゲェェーーーーッッッ!!! 悔しかったらかかってこーーーい!!!」 「ガーーーイバーーーースリィィィィーーーーッッッ!!! ボクを殺せなかったヘタレくーーーーんっっっ!!!」 「ノーーヴェーーーちゃーーーん!!! そんなメタリックで冷たい奴なんかより血の通ったボクの方があったかいよーーーーっっっ!!! あ、ボクは微乳でもOKだからーーーっっっ!!!」 ……最後だけ彼の股間が膨らんでいた事は伏せるのが名誉の為だろう。 叫ぶだけ叫んでようやく一息付くが、冷静になるに従いプルプルと身体が震えてきた。 なんとなく寒気を感じて風が強くなったのかなと思わず自分を抱きしめる。 「うう~、ひょっしてボクとんでもない事しちゃったのかな~」 ……やっぱり万太郎は万太郎であった。 ※ この万太郎メッセージというべきものは彼の思惑通り広い範囲に響き渡った。 到達距離囲を正確に求めるのは不可能であるが、少なくとも湖の周辺エリアでは確実に聞くことが出来た。 古泉は川辺に万太郎が流されてないか探している時にメッセージを聞いた。 生存を示す確かなサイン、しかしそれは彼のプランを根底から覆すものであった。 「一体何を考えているんですか! あの人は!!」 どうしても叫ばずにはいられなかった。 直前に万太郎と将軍の技を受けた古泉には解る、今戦った所で勝ち目が殆ど無いという事が。 二人のコンディションには決定的な差がある、将軍は今の万太郎が勝てる程甘くは無い。 素人でも解る事を本職の彼が気付いて無い筈が無い、だからこそ古泉はこれ程怒っている。 万太郎と合流の後は体調を万全に整え更に仲間を増やした上で作戦を立て将軍に挑む。それが古泉の計画だった。 なのに計画は最初から躓こうとしていた。 彼がやろうとしている事は匹夫の勇、バンザイアタック、唯の自己満足だ。 将軍が今何処にいるのか不明だがもし聞いていたら確実に引き返してくるだろう、殺したと思った相手に馬鹿にされて黙っているとは思えない。 ぐずぐすしてる暇は無い、一秒でも早く万太郎を黙らせてここから離れる必要がある。 下手するとノーヴェも目を覚ましてしまったかもしれない、だとすればますます厄介だ。 何よりも苦しいのはこちらから呼び掛けられない事だ、下手な事を言えば聞いているかもしれない将軍に裏切りが発覚する。 無難な台詞を叫んでもノーヴェが聞きつければ彼女は間違いなく追ってくる。 つまりは直接相対した上で説得する以外に方法は無い。 誰よりも早く水上リングに辿り着く為に古泉は全力で湖へと引き返し始めた。 だが彼は将軍の技を受けて間もない、すぐさま骨が砕けるような激痛に負けて膝を突く。 本来ならばガイバーに頼って回復に専念すべきなのだ、未だ右腕の再生も完了していないというのに。 それでも古泉は立ち上がる、無理をして走り続ける。 ゴールは水上リングの万太郎、果たして彼は一着になれるのか。 ここに万太郎を目指すレースが始まった。 ※ 川口夏子は救急車の運転席でその声を聞いた。 それは一時は行動を共にした仲間の声、だが喜ぶ真似などしなかった。 (つまり危険人物が四人も近くにいるってワケか、せいぜい連中を引き付けて置いてくれれば助かるわ) 彼女もまた万太郎の呼びかけを愚かしいものとして受け止めた。 わざわざ火種の中心に飛び込むつもりは無い。 無理に万太郎を助ける義理は何処にも無い。 むしろ彼の望み通り悪魔将軍や危険人物が集ってくれたほうが探しものをするこちらの身の安全が確保できる。 しかし出来るだけ目立たずにいるのが最善だ、夏子はここで救急車を降りる決意をする。 とはいっても予定が狂ったわけではない、単純に車がこれ以上進めそうにないからだ。 草むらの中に停車し念入りにカムフラージュした上で素早く木と木の間を移動する。 ロケットは予想以上の長距離を飛翔した。 道路事情と無灯火で追わなければならなかったという制約で途中見失ったがこの辺りに落ちたのは間近い無い。 手掛かりは臭いだ、燃焼ガスを辿れれば必ず落下地点に行き着く筈。 慎重に進むうちに林が途切れ、一気に視界が開けてきた。 それを見た瞬間、砂漠の住民として生きてきた彼女を再び驚かせる。 オアシス―――大量の水がそこには有った。 ※ 悪魔将軍は暗い森の中でその声を聞いた。 立ち止まり、自らへ叩き付けられた挑戦を無言で受け止める。 声の主は部下に任せた死に損ない、下らぬ挑発になど乗らず採掘場に向かっても良い筈だった―――オメガマンと話す前ならば。 一切の躊躇い無しに悪魔の将は引き返す、もはやキョンの事など頭に無いとばかりに。 何故か―――それは万太郎の真実に気付いたからだ。 先程までは『偽キン肉マン』と認識していた、だからこそどうでも良い相手として古泉達に始末させようとしたのだ。 だが今は違う、万太郎が正真正銘キン肉スグルの息子である可能性が高まった以上自らその命を奪わねば気が済まない。 オメガマンは語った、悪魔の将である自分がキン肉スグルに倒されたと。 万太郎もまた自分の事を知らなかった、奴の生きていた時代で自分は姿すら知られていないらしい。 つまり万太郎の存在は自らを始めとする悪魔超人が敗北し正義超人が栄えた未来に生まれた、それは悪魔が望む未来では―――決して無い。 「そのような未来はここで消える! 万太郎よ、私がお前の全存在を否定する。血一滴、肉片一つ残さずにこの世から消し去ってやろう!!」 真実は悪魔の逆鱗に触れた。 戦う前から負けを告げられるのは悪魔のみならず全ての超人にとって最大の屈辱。 スグルと万太郎、二人を必ず抹殺すると将軍は魂に刻み込む。 憤怒を秘めた魔将が闇の中を闊歩する。 雰囲気の変化は南国から極地に移動したと思わせる程激しく、そして荒々しかった。 凍て付くような禍々しいオーラが将軍の全身から溢れ出る。 森の樹が畏れるように竦んでゆく。 虫すらも鳴くのを止めて縮こまり、将軍の至近では絶命すらしていた。 次第に風が強まってゆく。 舞台となる湖も波だっている。 ―――嵐が、近付いていた。 【E-09 水上リング/一日目・夜】 【キン肉万太郎@キン肉マンシリーズ】 【状態】ダメージ(大)、疲労(大) 【持ち物】ザ・ニンジャの襟巻き@キン肉マンシリーズ 【思考】 1.悪魔将軍を倒し、ガイバーを解放する。 2.危険人物の撃退と弱者の保護。 3.夏子たちと合流する。 4.頼りになる仲間をスカウトしたい。 父上(キン肉マン)にはそんなに期待していない。 会いたいけど。 【備考】 ※超人オリンピック決勝直前からの参戦です。 【E-09 湖畔/一日目・夜】 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 【状態】疲労(中)、ダメージ(中)、悪魔の精神、キョンに対する激しい怒り 【装備】 ガイバーユニットⅢ 【持ち物】ロビンマスクの仮面(歪んでいる)@キン肉マン、ロビンマスクの鎧@キン肉マン、デジタルカメラ@涼宮ハルヒの憂鬱(壊れている?)、 ケーブル10本セット@現実、 ハルヒのギター@涼宮ハルヒの憂鬱、デイパック、基本セット一式、考察を書き記したメモ用紙 基本セット(食料を三人分消費) 、スタームルガー レッドホーク(4/6)@砂ぼうず、.44マグナム弾30発、 コンバットナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱、七色煙玉セット@砂ぼうず(赤・黄・青消費、残り四個) 高性能指向性マイク@現実、みくるの首輪、ノートパソコン@現実? 【思考】 0.復讐のために、生きる。 1.悪魔将軍と長門を殺す。手段は選ばない。目的を妨げるなら、他の人物を殺すことも厭わない。 2.キン肉万太郎と合流し、この場から離れる。 3.時が来るまで悪魔将軍に叛意を悟られなくないが……。 4.使える仲間を増やす。特にキン肉スグル、朝倉涼子を優先。 5.地図中央部分に主催につながる「何か」があるのではないかと推測。機を見て探索したい。 6.デジタルカメラの中身をよく確かめたい。 【D-09 湖畔/一日目・夜】 【川口夏子@砂ぼうず】 【状態】顔にダメージ、強い決意。 【持ち物】ディパック、基本セット(水、食料を2食分消費)、ビニール紐@現実(少し消費)、 コルトSAA(5/6)@現実、45ACL弾(18/18)、夏子とみくるのメモ、チャットに関する夏子のメモ 各種医療道具、医薬品、医学書 【思考】 0、何をしてでも生き残る。終盤までは徒党を組みたい。 1、万太郎が馬鹿やっている間に落下したロケットを見つけ出す。 2、19時半を目安に、ゴルフ場の事務室でハムと待ち合わせ。20時までに来なければ、単独行動を行う。 3、キン肉スグル、ウォーズマン、深町晶、キョン、朝倉涼子を探してみる。 4、万太郎と合流したいが難しいと思っている。 5、ハムは油断ならないと思っているが今は自分を見放せないとも判っている。 6、生き残る為に邪魔となる存在は始末する。 7、水野灌太と会ったら―――― 【備考】 ※主催者が監視している事に気がつきました。 ※みくるの持っている情報を教えられましたが、全て理解できてはいません。 ※悪魔将軍、古泉、ノーヴェ、ゼロス、オメガマン、ギュオー、0号ガイバー、怪物(ゼクトール、アプトム)を危険人物と認識しています。 ※深町晶を味方になりうる人物と認識しました。 ※トトロ(名前は知らない)は主催と繋がりがあるかもしれないと疑いを持っています。 ※救急車は湖から遠くない場所に停められています、カムフラージュされている為よく見ないとわかりません。 【F-8 森/一日目・夜】 【悪魔将軍@キン肉マン】 【状態】健康、万太郎への激しい敵意。 【持ち物】 ユニット・リムーバー@強殖装甲ガイバー、ワルサーWA2000(6/6)、ワルサーWA2000用箱型弾倉×3、 ディパック(支給品一式、食料ゼロ)、朝比奈みくるの死体(一部)入りデイパック 【思考】 0.他の「マップに記載されていない施設・特設リング・仕掛け」を探しに、主に島の南側を中心に回ってみる。 1.万太郎を自らの手で殺す。 2.古泉とノーヴェを立派な悪魔超人にする。 3.強い奴は利用、弱い奴は殺害、正義超人は自分の手で殺す(キン肉マンは特に念入りに殺す)、但し主催者に迫る者は殺すとは限らない。 4.殺し合いに主催者達も混ぜ、更に発展させる。 5.強者であるなのはに興味 6.採掘場に向かい、キョンとの接触を試みる。 7.もしもオメガマンに再会したら、悪魔の制裁を施す。 ※参加者が別の世界、また同じ世界からでも別の時間軸から集められてきた事に気付きました。 時系列順で読む Back かくて黒は笑いき Next Grazie mio sorella. 投下順で読む Back かくて黒は笑いき Next Grazie mio sorella. 燃え上がれ! 闘志は胸を焦がしてる キン肉万太郎 鎧袖一触~鎧は殴るために在る~ 止マラナイ! 古泉一樹 将軍様へのGE・KO・KU・ZYO 悪魔将軍 詐欺師兎は奇妙なパソコンを前に頭を捻る 川口夏子